原状回復工事にも影響?材料費高騰が現場に与える変化

近年、建材や資材価格の上昇が続いており、その影響は住宅建築やリフォームだけでなく、原状回復工事の現場にも広がっています。クロスや床材などの材料費に加え、物流費や人件費の上昇も重なり、工事を取り巻く環境は大きく変化しています。
一方、こうした変化は単に工事費用の問題だけではありません。安定した品質を維持するためには、材料だけでなく施工を支える人材にも目を向ける必要があります。
この記事では、材料費高騰が原状回復工事に与える影響や、現場で起きている変化について解説します。
目次
原状回復工事で価格上昇が続いている理由

原状回復工事では近年、工事費の上昇が続いています。
背景には、建材価格の高騰や物流費の増加、人手不足による人件費の上昇など、複数の要因があります。まずは価格上昇が続く理由を見ていきましょう。
- クロスや床材など建材価格の上昇
- 物流コストや燃料費の増加
- 人手不足による人件費の上昇
クロスや床材など建材価格の上昇
原状回復工事の価格上昇が続く大きな要因の一つが、クロスや床材、塗料、接着剤など、幅広い建築資材の相次ぐ値上げです。
背景には、中東情勢の緊迫化による原油やナフサなどの原材料価格の高騰に加え、物流コストの上昇や供給環境の変化があります。これらの建材は一度に大きく値上がりするのではなく、メーカー各社による価格改定が複数回行われるなど、段階的な値上げが続いている状況です。
原状回復工事では多様な資材を組み合わせて使用するため、それぞれの建材価格の上昇が工事全体のコスト増加に直接影響しています。
物流コストや燃料費の増加
物流コストや燃料費の増加も、原状回復工事の価格上昇が続いている理由の一つです。
材料そのものの価格だけでなく、現場まで届けるための輸送コストも上昇しています。
特に建材は、クロスや床材だけでなく、石膏ボードや設備資材などサイズや重量があるものも多く、物流費の影響を受けやすいのが特徴です。近年は原油価格の上昇により、輸送費の高騰も重なり、配送コスト全体が上昇しています。
その結果、運搬にかかる負担が工事費へ反映され、原状回復工事全体の価格上昇につながっている状況です。
人手不足による人件費の上昇
原状回復工事の価格上昇が続く大きな原因の一つが、建設業界全体の人手不足にともなう人件費の高騰です。
現在の建設現場では、ベテラン職人の高齢化が進む一方で若手が集まらず、深刻な人手不足が常態化しています。きついイメージや労働環境の課題から若者離れが続いており、限られた職人を確保するために「手間賃(人工代)」を引き上げざるを得ないのが実情です。
原状回復はクロス貼りや床工事など、大半が人の手による作業です。そのため、人件費の上昇がダイレクトに工事費へ反映され、全体の価格を押し上げています。
材料費高騰が原状回復工事の現場に与える影響

材料費の高騰は、原状回復工事の費用だけでなく、納期や施工計画、現場運営にも影響を与えています。
ここでは、実際に現場で起きている変化について解説します。
- 工事費用全体への影響
- 材料の納期や供給への影響
- 施工計画の見直しが必要になるケースも
工事費用全体への影響
材料費の高騰は、原状回復工事の見積価格に大きな影響を与えています。
クロスや床材など多種多様な資材が段階的に値上がりしているため、以前の相場での対応は難しく、最新の仕入れ価格を見積りに反映するケースが少なくありません。
この影響は、ワンルームの壁紙張り替えといった小規模な工事でも同様です。
さらに、多くの建材が値上がり傾向であるため、他でコストを削るような「原価調整」が難しくなっています。結果として、規模の大小を問わずあらゆる原状回復工事において、費用全体が押し上げられているのが現状です。
材料の納期や供給への影響
材料費の高騰は、原状回復工事の費用だけでなく、材料の納期や供給面にも影響を与えています。近年は原材料不足や物流の混乱に加え、「ナフサショック」と呼ばれる石油化学原料価格の急上昇も悩ましい問題です。ナフサはクロスや接着剤、塗料、プラスチック製品など幅広い建材の原料となるため、価格上昇や供給不安が発生すると建材全体へ波及しやすい特徴があります。
その結果、一部の建材では一時的な欠品や納品遅延が発生し、予定していた資材を確保できないこともないとはいえません。必要な材料が手配できない場合には、類似製品や別メーカー品などの代替品で対応することもあり、工事スケジュールや仕上がりへ影響する要因になっています。
施工計画の見直しが必要になるケースも
材料費の高騰や資材の供給不安は、原状回復工事の「施工計画」そのものの見直しを迫る要因にもなっています。
まず、予定していたクロスや床材が手に入らず、急遽、別メーカーの類似品へ資材変更を行うケースが増えています。
仕様変更の承認手続きや代替品の手配には時間がかかることがあり、当初のスケジュール通りの工程調整が困難になるでしょう。結果として、引き渡し日を遅らせる工期調整が必要になるなど、材料高騰の余波は現場の進行管理にも大きな影響を与えます。
品質維持のために注目される「人」の課題

原状回復工事の品質を安定して維持するためには、材料や設備だけでなく、それを支える人材の存在も重要です。ここでは、建設業界が抱える「人」の課題について解説します。
- 建設業界で進む職人不足
- 技術継承の重要性
- 適正な評価や働きやすい環境づくりも課題に
建設業界で進む職人不足
原状回復工事の価格上昇の背景には、建設業界が抱える深刻な人手不足と、それに伴う「人件費の引き上げ」があります。
業界内では、55歳以上のベテランが全体の3分の1以上を占めるなど高齢化が進む一方、過酷な労働環境や長時間労働への懸念から若手が集まっていません。建設需要が続く中で、限られた人材を確保する重要性も高まっています。
こうした人材確保の難しさが手間賃(人工代)の高騰を招き、結果として原状回復の工事費全体を大きく押し上げる原因の一つとなっています。
技術継承の重要性
原状回復工事の品質を維持するうえで、ベテラン職人から若手への技術継承は重要な課題となっています。
特にクロス施工や床の補修技術は、マニュアルだけでは習得が難しい部分も多く、職人の経験や判断力が仕上がりに影響します。下地の状態に応じた細かな調整や、傷や劣化の状態に合わせた補修方法の選択などは、現場経験によって培われる技術の一つです。
近年は職人の高齢化が進んでいることから、こうした技術や知識を次世代へ引き継いでいくことが、安定した施工品質を維持するための重要な取り組みとなっています。
適正な評価や働きやすい環境づくりも課題に
品質を維持するためには、技術を持つ職人が継続して働ける環境づくりも重要な課題の一つです。過度な価格競争が続くと、職人の待遇悪化を招き、将来的な人材確保や施工品質の維持にも影響を与える可能性があります。
弊社では各職人に何か付加価値をつけて工事が出来るように提案しつつ、その分工賃を上げる事で不足分を吸収出来るようにサポートしています。
例えば、クロス職人が電気工事士の資格を持っていれば、これまで請負っていなかった工事を合わせて受注できるように促したり、ハウスクリーニング職人がリペアや雑工事を請け負えるように教育したり、建物管理のスタッフが植栽剪定や高圧洗浄など新しい工事を請け負えるような支援体制を整えているところです。
各職人が同じ現場の1工事の売上が上がるように工夫してマネジメントする様に心がけています。
原状回復工事は価格だけで判断しないことも大切

原状回復工事の費用を比較するときは、価格だけで判断しないことが大切です。
見積金額が極端に安いと費用を抑えられるように感じますが、必要な工事範囲が含まれていなかったり、安価で耐久性の低い材料が使われていたりするリスクがあります。
例えば、補修作業が含まれていなかったり、低いグレードの材料が使われたりすることも考えられます。
オーナーや管理会社は、金額の安さだけを見るのではなく、「どこまで工事を行うのか」「どのような材料を使うのか」まで確認しておきたいところです。
目先の費用だけで決めるのではなく、品質とのバランスや将来的な維持管理まで考えて判断することが、結果的に無駄な出費を防ぐことにつながります。
賃貸リフォームをお考えのご担当者様・オーナー様へ

材料費高騰は原状回復工事にも影響を与えていますが、現場で起きている変化は費用面だけではありません。
品質を維持し続けるためには、材料や設備だけでなく、それを支える人材も欠かせない存在です。価格だけで比較するのではなく、工事内容や品質とのバランスにも目を向けることが、満足度の高い原状回復工事につながるでしょう。
アソシクリエイトでは、埼玉県の賃貸物件の原状回復工事を中心に、退去立会いからクリーニング、内装・設備工事、建物管理までワンストップで対応しています。複数業者との調整が不要になるため、オーナー様や管理会社様の負担軽減につながる点がメリットです。
また、現場を熟知したメンバーによる施工管理体制を整え、品質とスピードの両立を目指しています。原状回復工事だけでなく、物件管理全体を見据えたサポートを提供していますので、原状回復工事をお考えのオーナー様・管理会社様は、お気軽にお問い合わせください。


